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統計から見る!企業のクラウドサービス利用状況(平成30年版)

統計から見る!企業のクラウドサービス利用状況(平成30年版)

2019年4月末で平成の時代が終了し、2019年5月より令和の時代が始まりました。
平成のあいだに、企業のシステムを担う環境は様変わりしています。
そこで今回は、平成27年(2015年)の統計データを取り上げた前回のコラムに続き、平成最後の統計データが残る平成30年(2018年)の企業のクラウドサービス利用状況を取り上げます。
総務省が公開している「通信統計動向調査」平成27年(2015年)および平成30年(2018年)のデータで差を比較・確認していきましょう。

(出典)総務省「通信利用動向調査」
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/statistics05.html

クラウドサービスの利用状況(資本金別)

まず、資本金別でのクラウドサービスの導入状況の比較をしてみます。

クラウドサービスの利用状況(資本金)2018年
クラウドサービスの利用状況(資本金)2015年

2015年に比べると、2018年では全体的に「クラウドサービスについてよくわからない」という回答が減っています。
もともと資本規模が大きな企業では高い認識率を示していましたが、資本金1000万円未満の企業においても「よくわからない」という層が26.4%から15.1%と減り、かなり改善していることがわかります。
この結果からクラウドサービスというものについての認知が、すそ野まで広がっていることが読み取れます。

クラウドサービスの利用状況(業種別)

続いて、業種でのクラウドサービス利用状況を確認しましょう。

クラウドサービスの利用状況(業種)2018年
クラウドサービスの利用状況(業種)2015年

2015年の統計では「サービス業・その他(計)」に含まれていた「不動産業」、「情報通信業」が、2018年の統計では独立した項目となり、統計の分類が多少変わっていますが、全業種でクラウドサービスの利用が増えていることが確認できます。
もともと利用が多かった「金融・保険業」では一部利用まで含めて70%強から90%弱まで増加しており、ほとんどの企業でクラウドサービスを利用している状況になっています。
分類が同じ範囲で利用が少なかった「製造業」においても60%から70%まで増加しています。また、その他から分類が分けられた情報通信業にいたっては、当然の結果ともいえますが95%の企業がクラウドサービスを利用しています。
どの業種でも全体的にクラウドサービスの利用及び利用の検討が進んでおり、「利用していないし、今後も利用する予定もない」の割合が減っていることから、今後もこの傾向が続くものと推察されます。

具体的に利用しているクラウドサービス

それでは利用するクラウドサービスにおいては、どのように変化があったのでしょうか。

クラウドサービスの利用状況(業種)2018年
クラウドサービスの利用状況(業種)2015年

利用しているクラウドサービスの1位は電子メール、2位はファイル保管・データ共有サービスでした。2015年から2018年にかけて、このトップ2つの利用率にほとんど変化はありませんが、全般的には1割前後の伸びが確認できます。
その中で、3位の「サーバー利用」は41%から50%と2割近くの伸びを示しました。
「電子メール」や「スケジュール共有」は、もともとOffice365やGoogleApps(現G Suite)といったSaaS型のサービス主体のクラウドが利用されていたのに対し、「サーバー利用」は従来保有していた社内サーバーの仮想化によるリプレースや、クラウドでの新規構築等のIaaS型の導入が進んでいるものと推察されます。
また、絶対数は少ないものの、「認証システム」が3.4%から6.3%とほぼ倍に伸びています。これは、1企業で利用するクラウドサービスが増えたことが背景にあると考えられます。クラウド利用における利便性を考慮したシングルサインオンや、セキュリティを向上させるための多要素認証といったサインイン関連のサービス利用者が増えていることが要因として挙げられます。

クラウドサービスを利用する理由

クラウドサービスを利用する理由については、どのように意識の変化があったのでしょうか。

クラウドサービスを利用する理由 2018年
クラウドサービスを利用する理由 2015年

こちらも分類がかなり整理されています。
新設されている「災害時のバックアップとして利用できるから」は2013年以降特に意識された部分です。
意味合いとしては「安定運用、可用性が高くなるから(アベイラビリティ)」や「サービスの信頼性が高いから」の項目と重複しますが、特に災害時の対応を意識して利用している企業が多いため、追加されたものと思われます。
クラウドサービス利用の伸びと比べて、「ベンダーから提案されたから」の値(15.1%→16.4%)があまり伸びていないのも面白い点です。
クラウドサービスは直接契約が主流となるため、これまでのベンダーのような中間業者の必要性が低くなり、ユーザー自身が主体的にサービスを選択するようになっていることがうかがえます。

クラウドサービスの効果

クラウドサービスの効果 2018年
クラウドサービスの効果 2015年

「非常に効果があった」「ある程度効果があった」のどちらかの回答があった企業が8割弱から8割強に伸びています。しかし、「非常に効果があった」はわずかに下がり、「効果はよくわからない」が増えています。
これは導入したサービスがその企業内では当たり前になったため、効果の有無を意識していない、もしくは災害対策のような効果が測定しづらい機能を導入したため効果が確認できない等、結果が両極端に出ているのではないかと考えられます。
いずれにしても、この結果からは企業でのクラウドの利用がより標準化してきたとも読み取れます。

さいごに

平成という時代を振り返るとインターネットの発展が急速に進んだ時代でした。
おおよそ10年ごとにインターネットでは次のような変化がありました。

このように並べてみると、クラウドサービスは平成20年(2008年)に各種クラウドサービス基盤の提供が始まったことにより、その後さまざまなクラウドサービスが開発・提供され、一般に広まっていったといえます。
当社の名刺管理サービスであるアルテマブルーも、このクラウド元年ともいえる2008年からサービスを開始しています。

令和の時代、もはやクラウドの利用は標準的になりました。
これからはクラウドなのか、ではなく純粋に業務に必要なサービスを選定した結果としてクラウドサービスが利用され、クラウドであることを意識することはなくなっていきます。
その利用したいサービスが本当に必要か、改めてご自身の判断で導入をご検討ください。