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商品先物取引会社から学ぶ「営業プロセス」の管理方法

商品先物取引会社から学ぶ「営業プロセス」の管理方法

コラム「商品先物取引会社から学ぶ「名刺リスト」の活用方法」では、約15年前の商品先物取引会社で行われていた「見込顧客管理」の実態をご紹介いたしました。
意外にも反響が多く、他業種の事例について興味を持っていただいた方も多かったようです。

実際に、「先物取引」をご存じない若い方からは、「会社にヘッドハンティングの電話がよく掛かってくるって…どのような事をやっていたんですか?」といったご質問もいただきました。

それほど営業スキルの高かった、当時の商品先物取引会社における営業手法の成功と失敗についてご紹介させていただきます。
しかし、15年も前の方法ですので、あくまでも一つの過去事例としてご覧ください。

質にこだわった、徹底した営業プロセス

私が勤務していた会社は、先物取引業界では大手にあたる企業でした。
厳密に定義された営業プロセスで徹底的に管理することにより、業界屈指の地位を築いたと言えるでしょう。
とはいえ、プロセス自体は非常に単純です。

  • Phase 1
    テレアポ
  • Phase 2
    訪問
  • Phase 3
    クロージング

一見、どの企業でも行なわれているような営業プロセスです。
では、一体何が違うのでしょうか?
その会社で重視していたのは、中身でした。
プロセスをひとつずつ見ていきましょう。

Phase1:テレアポ

まずは、保有している顧客リストにひたすら電話をかけ、アポを獲得します。
当時、先物取引と聞くと、そもそも興味がないお客様もいらっしゃるということもあり、名乗った途端すぐに切られてしまうことは往々にしてありました。
そんな事情もあったため、1時間に60~70件ものペースでかけていたものです。

Phase2:訪問

※ここが重要となります。

【訪問時の説明の流れ】
取引の仕組み ▶ 推奨銘柄の状況 ▶ 利益計算について説明 ▶ クロージング

基本的には、上記の流れを真っ白な便箋に書きながら説明していきます。
普通なら紙の資料を見せ、それに沿って説明しますが、資料ではなく真っ白な便箋が出てきたのを見て、多くのお客様が驚かれていました。

説明自体をストーリー仕立てにすることによって、書きあがった便箋もストーリーに沿った内容に仕上がります。
さらに、説明の中の、どの部分をどのように書けば説明や読み返した際に分かりやすくなるのか、計算した上で構成していました。

そのため、一通り説明を終えたころには、その便箋は参考資料としてご利用いただけるような状態になっています。

この分かりやすさから、お客様にクオリティの高さを評価していただけたことは何度もありました。

もちろん、便箋に書いて説明するだけではご納得いただけません。
そのため、必要に応じ、根拠となる新聞記事やチャートをアプローチブックに入れ、裏付け材料として提示していました。

取引の仕組みや銘柄状況の説明を終え、次は利益計算です。
直近の値動きの中から短期で値上りをした例をもとに、「実際に、たった1週間で○○万円も利益がでました!」と、お伝えすることで、具体的な成功イメージを抱いてもらいます。
さらに、「今の値動きから予想すると、○日で○○万円の利益を狙えます!」と、追い打ちをかけるのです。

その状態から、クロージングに入ります。
しかし、必ずしもその場でご注文をいただけるお客様ばかりではありません。

その場での決断が難しい場合、商談中に会社へ電話します。
上司に繋いでもらい、「上司がお礼をしたいと申しております。」と、お客様と上司とで会話してもらうのです。

これを「客先」と呼んでおり、上司からクロージングをかけてもらうことが目的でした。

それでもご注文いただけない場合は、翌日の「電話クロージング」で結論を出してもらえるよう、「明日、○○のような状況になるとチャンスですので、その時はお願いします!」と布石を打ってから帰ります。

Phase3:クロージング

翌朝、9時に先物市場が開くと同時に、お客様に電話をし、クロージングをかけていきます。
※これを「プッシュ」と呼んでいます。

「昨日ご紹介した○○ですが…今朝確認したところ、とんでもないことが起きました!!」と連絡することで、前日の帰りがけに打った布石が生きてきます。

先物取引は1分1秒で状況が変化するという特徴を活かして「今、この瞬間が<買い>です!」と感情を刺激し、購買意欲を高めていきます。

そして最終的にお客様の決断を促す。
ここまでが通常の流れです。

では、このような営業スキルを、どのように身に着けていたのでしょうか?

営業力の秘訣は徹底的に定義されたプロセスと、ロールプレイング

基本的な営業プロセスはこのPhase1~Phase3に上げた通りです。
繰り返しになりますが、これはすべてマニュアルとして定義されていました。

営業マンは毎日毎日、ロールプレイングをしています。
数字の悪い営業マンは残ってひたすらロールプレイングを繰り返し、身体にしみつくまで何度も続けていました。

実際、現場に出ておこなっていたのは、このプロセスを忠実にやるだけ。
それでも、会社にはヘッドハンティングやスカウトの電話がたくさんかかってきていました。

このような営業マニュアルや、決められた“型”通りにやるのは意味がない、と言う人がいます。
確かにレベルの低い“型”しか作れないのならば、その通りかもしれません。
しかし、“型”のレベルを高めていくこと事は可能なのです。

しっかりとした“型”ができれば、「個人の裁量にお任せします」などという営業組織よりは、間違いなく強い営業組織になるでしょう。

数値化によって時代の変化をいち早く捉えることの必要性

では、なぜ多くの先物取引企業が衰退してしまったのか。

簡単に言えば、時代の変化に対応できなかったことが要因の一つだと言えるでしょう。
過去の成功事例をそのまま何年も受け継いでいましたが、当然、永久的に成功が続くわけではありません。
営業部門においても、過去に固執せず、時代の変化に合わせた対応が不可欠なのです。

先物取引のターゲットは経営者で、昔からの先物取引の評判をご存知の方も多く、その中には先物取引の営業手法を知っているお客様も少なくはありませんでした。

そんな中、営業現場は、上司の時代よりも明らかに先物取引に対する風当たりが強いのでは?と、昔ながらの手法で営業を続けていくのは難しいだろうと悟っていたのです。
しかし、上司に話をしても、「お前らの営業レベルが低いからだ!」と、聞く耳を持ってもらえず、議論になりませんでした。

当時、「顧客」に関する情報管理はきちんとやっていましたが、「営業プロセス」に関する情報管理は積極的にはやっていませんでした。

今考えると、当時の営業プロセスの価値は、下記の式で数値化できたのではないでしょうか。

このような指標を、時系列で比較さえしていれば、年々、明らかに状況が悪くなっているということが共通認識として持てたはずです。
「もはや、過去の営業プロセスが通用しなくなってきている」という課題認識を出発点として改善施策を立てていれば、何かが変わったのではないか?と、考えてしまいます。

さいごに

営業の状況に問題意識を持ち、現状把握から始めようと思っても、何も情報を蓄積していなければ、情報を活用しようがありません。
実際には、多くの企業がそのようなお悩みを抱えています。

しかし、顧客の名刺であれば持っている、という営業の方は多いのではないでしょうか。
その名刺に、「誰が担当したのか」「アポは取れたのか」といった情報を紐づけていけば、お手持ちの名刺はただの紙から非常に有用なデータに変わります。
キヤノンエスキースシステムが提供する名刺管理サービス「アルテマブルー」は、複合機やスマホで取り込むだけで名刺を簡単にデータ化でき、営業活動に活かすことができます。

当社では、「案件管理」や「顧客管理」といったシステムの構築も手掛けています。
Microsoft Dynamics 365(CRM)や、中小企業向けのkintoneによる簡易的なソリューション提供も行うなど、他サービスとの連携や情報管理も簡単に行えることが特徴です。

営業活動の最適化の第一歩として、まず名刺管理から始めてみてはいかがですか?
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