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顧客管理の「顧客」とは?使えるSFAにするための大前提を解説

顧客管理の「顧客」とは?使えるSFAにするための大前提を解説

弊社では、SFA/CRMだけでなく、法人向けの名刺管理サービスも提供しています。
その営業先で、「“顧客管理”をしっかりしていきたい!」というご相談をよくいただきます。

その時に、次のような質問をすることがあります。
「貴社にとっての“顧客”とは何を指すのですか?」と。

さて、この問いに明確に答えることができるでしょうか?

前回のコラム「案件管理の「案件」、定義できますか?」では、SFA/CRMの活用や、システム選定の際に重要なポイントである「案件」の定義について触れました。
今回はその続編として「顧客」の定義についても考えていきたいと思います。

人によってバラバラな「顧客」の定義

まずは「顧客」の意味について確認しておきます。
辞書では、顧客について

――顧客(customer)とは、自社の商品やサービスを購入したり、利用したりする対象を指す言葉です。
すでに取引のある相手だけではなく、この先、購買の可能性がある相手を含む場合もあります。
顧客となるのは個人、法人は問いません。
法人には企業や行政機関も含まれます。

と解説されています。

この意味を踏まえて、考えていきましょう。
弊社にお問い合わせをいただく大半の企業はBtoBビジネスを行っているので、視点はBtoBビジネスに置くことにします。
BtoBとは「Business to Business」の略であり、この場合の「顧客」は基本的に“企業”となります。
BtoCビジネスの企業であれば「顧客」は“個人”となるでしょう。

つまり、ものすごく単純に言うと、「BtoBビジネスの顧客は企業」ということになるのですが、実際には「顧客」という言葉が別の意味で使われていることは珍しくありません。
BtoB企業から「顧客管理」をしたいというご相談を受けお伺いすると、「名刺管理サービス」の検討だったり、顧客企業の担当者個人を指して「顧客」と言ったりするケースも散見されます。

このように、実は同一企業内でも「顧客」の定義が統一されていないため、「顧客管理」の対象が“誰(どこ)”なのか、人によって認識がバラバラというケースは意外に少なくないのです。

さらに、 “まとも”に「顧客管理」をしようとなると、話はより一層複雑になります。
例えば、「顧客」=「企業」であることが定義されていたとします。
しかし、単に「顧客」と言っても、「見込顧客」「新規顧客」「既存顧客」と、深度がまったく異なる「顧客」が存在します。
もっと言うならば「販売パートナー」「開発パートナー」「仕入先」「外注先」など、様々な「顧客」との関わりがあります。
中には、ビジネス上全く関わりがなさそうではあっても、展示会でたまたま前職の同僚と会って交換した名刺も「顧客」に含まれているかもしれません。

それでは「顧客管理」といった場合、どこまでの「顧客」の情報を管理する必要があるのでしょうか?この見極めが重要となってきます。

管理すべき顧客は誰なのか?

この問題は、最近引き合いの多い名刺管理サービスとSFA/CRMとの連携にも大きく関わってきます。

名刺管理サービスとの連携を利用すると、手入力に比べて入力自体が非常に楽になるので、営業現場では何も考えずにとりあえず連携、という状況になりがちです。
すると、管理する必要がない「顧客マスタ」が大量に作られる事態に陥ります。

「顧客マスタ」の管理項目は、「取引区分」よって大きく異なり、「顧客マスタ」はその付随情報の鮮度が良く、充実することで「顧客管理」が可能になります。
それなのに、よくわからない顧客情報を含む膨大な量の「顧客マスタ」が作られると、メンテナンスがままならないという弊害を招き、活用面にも大きな影響を及ぼすことになります。

「管理」対象となる「顧客」とは誰なのか? これはSFA/CRM導入障壁のデータ入力問題に対する大きなポイントでもあります。

管理しやすい顧客マスタの作成単位とは?

もう一つ例を挙げておきます。
それは「顧客マスタ」の作成単位です。
イメージしやすいよう、既存顧客に「キヤノンエスキースシステム株式会社」がいるという仮定で話を進めましょう。

よくある作成単位としては、以下3つが考えられます。

  • 1.「キヤノンエスキースシステム株式会社」1本でいい場合。
  • 2.「キヤノンエスキースシステム株式会社 ○○事業所」など拠点や工場、事業所ごとにマスタを作成する場合
  • 3.「キヤノンエスキースシステム株式会社 ○○部」など取引口座ごとにマスタを作成する場合

また、大学が顧客となる場合は、「キャンパス」ごとに作るケースや、「研究室」単位でつくる場合もあります。

「顧客マスタ」の作成にあたっては、どのようなビジネスを展開しているかによって、good or badが異なります。

例えば、SFA/CRMのように、企業に対して1つの商材を販売するのであれば、顧客マスタは「キヤノンエスキースシステム株式会社」1本でいいかもしれません。
しかし、多くの商材を抱えていて、拠点ごと・部門ごとに契約がある場合は、「キヤノンエスキースシステム株式会社」だけではなく、拠点や取引口座ごとに営業情報を整理しておいた方が、見やすく、探しやすく、使いやすいケースもあるのです。

また、大手自動車メーカーを顧客としている場合は、A社担当部門、B社担当部門に分かれているケースがあります。
その場合も顧客マスタがA社1本では管理上都合が悪いので、各拠点や取引口座ごとに営業情報を管理できるような構成にすることが望ましいと言えます。

データ活用を見越したSFA選定

「顧客管理」においては、「顧客マスタ」の作成単位を考えるだけでは不十分です。
なぜならば、入力したデータを活用したデータ集計を考えたとき、悩ましい問題が出てくるからです。
データ集計では、多くの場合で「顧客企業全体としての受注/売上/利益などの集計」だけではなく、「拠点や取引口座ごとの受注/売上/利益などの集計」も欲しくなるのではないでしょうか。

データさえきちんと入力できていれば、「このくらいは簡単にできそうだ」と思われがちですが、実際はSFA/CRMによりけりなのです。
「案件管理の案件、定義できますか?」でも触れたとおり、システムの質によって、できるSFA/CRMとできないSFA/CRMが存在するという点に注意しなければなりません。

「顧客」という言葉だけ聞くと簡単に感じるかもしれませんが、SFA/CRMを導入するにあたっては、簡単に考えていい言葉ではありません。
自社のビジネスモデルと照らし合わせて、

  • ・管理すべき「顧客」の定義
  • ・どのような単位で顧客マスタを管理するのがいいのか
  • ・どのような集計(アウトプット)が必要なのか

この3点を事前に検討し、それを実現するために最適なSFAを選定することをお勧めします。